静動脈連携


社会課題起点の発想による創造的取り組み

巻頭言

 本号のテーマは、「静動脈連携~社会課題起点の発想による創造的取り組み」です。
 「静動脈連携」とは「静脈・動脈連携」のことですが、実はこの言葉は造語で、主に環境行政や環境ビジネスの世界で使われている「動静脈連携(動脈・静脈連携)」がモチーフになっています。
 「動静脈連携」とは、経済活動を血液循環に例えたもので、「動脈産業」と「静脈産業」との連携を指します。「動脈産業」とは天然資源を加工して製品などを生産する産業を指し、「静脈産業」とは動脈産業が生み出した生活財や消費財のうち、消費され廃棄物となったものをリサイクルやリユースによって社会に再還元する産業を指します。
 今、議論されているカーボンニュートラルや資源循環などの社会課題の担い手が静脈産業であることを考えると、今後の経済成長と、社会課題解決を担う社会システムの主役は、こうした課題に取り組んでいるメインストリームとは逆側の静脈側のプレーヤーではないか、と考えています。
 静脈側の世界線から、現在のメインストリーム(動脈側)の世界を見ることで、今後のマーケティングのみならず、新しい社会の在り方を考えるヒントが得られるのではないでしょうか。それが「静動脈連携」の言葉に込めた思いです。

本誌編集委員 見山 謙一郎

イラスト 小田桐 昭