Women in Pioneership

巻頭言

 女性管理職比率、女性役員比率と表面的な数字だけが“ガバナンス”上の課題、そして“多様性を企業成長につなげるべし”との課題となって企業にプレッシャーを与えられている。OECD(経済協力開発機構)の2022年調査によると、日本の女性役員比率は15.5%と、G7では他国に大差をつけられて最下位であり、政府は東京証券取引所プライム上場企業の役員について、2030年までに女性比率30%以上とする目標を掲げた。企業側は“候補者がいない”と右往左往し、“男性のポジションが奪われる”と警戒し、はたまた“女性を優先的に育成/昇格させなければ”と社内調整に走っている。働く女性側はと言えば“ロールモデルがいない”と躊躇し、“管理職になりたいわけではない”と困惑する現状もある。
 そんな中、企業という枠組みや国境を超えて、次世代に必要な刺激を生み、新しい価値を提供している女性たちがいる。彼女たちは“会社に選ばれる、昇格させてもらう”のではなく、自ら仕事とキャリアをデザインし、歩みを続けている。今回は特に社会課題に焦点をあてて新価値創造、新市場創造に取り組むパイオニアの女性たちのスピリットとWay、さらに同じ志を持つ仲間を探し、リーチし、そして巻き込んでチームやコミュニティビルディングする秘訣に迫りたい。マーケティングは新市場の創造とも解釈される。彼女たちの市場創造ストーリーの中に、道を切り開くヒントとともに、アップダウンの中でもがきながらも自分自身を鍛える信念を学びたいと思う。
 すべての女性たちへ「自分の中の輝く資産を見つけて欲しい。自分の足で立ち、疲れたら休憩してもいい、自分なりの方法とスピードで前に進んでいって欲しい」というメッセージとエールを送りたい。

本誌副編集委員長 松風 里栄子