飲⾷店のバズはどう⽣まれるのか


Instagram で人気の2軒に聞いてみた※

Research Report

権 敏敬、野澤 玲奈、波多江 真子
東京⼤学 経済学部 経営学科 4 年

研究の背景 
「バズる」という言葉の意味は、「短時間で話題に広がり,多くの人の注目を集めて,話題を席巻すること」だが、特に私たちはInstagramにおいて飲食店がバズるということを取り上げている。
およそ1年にわたるInstagramについての研究からInstagramの利用実態について得た調査結果をシリーズで紹介する。

1-1:Instagramの利用実態

 私たちは昨年からInstagramについての研究を続けており、昨年はInstagramの利用実態について調査をした。(昨年の研究について:https://www.jma2-jp.org/article/jma/k2/categories/710-mh200807)前回の研究からInstagramが”思い出を記録する場所、共有する場所”としてだけでなく、”検索手段”としてもかなり活用されてきていることが数値として明らかになった。さらに、Instagramで検索や情報収集をしたことがあるジャンルについてユーザーに尋ねたところ、レストランや飲食店、カフェなどの食べ物関係を検索する人が最も多いという結果が出た(グラフ1参照)。

 Instagramでの検索の仕方

 では、ユーザーに最も検索されている飲食店は、実際にどのように検索されているのかについて、主に使われている3つの方法を紹介する。

①一般ユーザーの投稿を元にしたハッシュタグ検索/スポット検索
 例えば、“#表参道カフェ”というハッシュタグで検索すると、同様に“#表参道カフェ”とハッシュタグをつけて投稿した人たちの投稿がヒットし、その人たちの投稿がまとめて表示されるというのがハッシュタグ検索だ。それに対し、投稿者が付けた位置情報(場所)から、同じ位置情報が付けられた投稿をまとめて閲覧できるのがスポット検索だ。

②グルメアカウントのページから検索
 グルメアカウントとはInstagramのアカウントの中でも、飲食店や食べ物を特集するグルメに特化したアカウント。特に人気のものだと、「りょうくんグルメ」フォロワ-36.7 万人(2021年3 月時点)のように、フォロワーが数十万人いるアカウントもある。このようなグルメアカウントの個人ページからお店を見つけるというのが2つ目の方法である(写真1参照)。

③お店の公式アカウントを探す
 飲食店側が、自身で情報を発信する公式アカウントが近年増えている。その公式アカウントを見つけ、お店から直 接情報を得るという方法もある。

 このようにInstagramで食べ物/飲食店を検索する人が多くなってきており、食べ物とInstagramの関係性が濃くなる一方で、食べ物単体というより、飲食店自体が注目され、飲食店がバズるというケースも非常に多くある。以下のような、卵かけご飯や干物を提供するカフェとしてバズっているヨリドコロ や、チーズが溢れ出すホットサンドを提供するカフェとしてバズっているTime and Space 二子玉川などがその一例だ。

1-2:研究テーマ

 1-1で取り上げたInstagramの利用実態を鑑み、今回の研究では、飲食店自体のバズりの方に注目し、私たちは「飲食店はバズるなどの現象をどうおこすか、どう対峙するか」というテーマで調査を行った。2 章からはその調査内容、結果について言及していく。
(次回へ続く)

※「飲食店がバズる」とは
 :自分が探そうと思っていなくても Instagram 上で自然と目に入ってくる状態
 :話題に出すと、周りの Instagram ユーザーもすぐに共感できる状態のこと
 と私たちは定義し、そのような使い方で執筆しました。